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豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 プラズマエネルギーシステム研究室

     

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研究紹介

大型商業施設におけるコージェネシステムの最適運転(サーラグループ連携研究)

大型商業施設におけるコージェネシステムの最適運転(サーラグループ連携研究)

 2008年夏,愛知県豊橋駅前に完成する複合商業施設「ココラフロント」において,コージェネシステムの導入効果を高めるための実証研究がスタートしました。ココラフロントは,地上16階地下2階のサーラタワー(2棟)と地上6階のガーデンサイトから成り,ビル内にはホテル,オフィス,店舗が多数入居する豊橋駅前再開発の目玉事業です。

 本研究室は,サーラグループ連携研究として,ココラフロントに設置されているコージェネシステムをより高効率に運転するために,エネルギーシステムの設計段階から携わりました。その中で,ココラフロント各所に流量計や温度計などを仕込み,これまで他に例のないほど,施設全体 のエネルギー需要の計測・把握することのできるシステムを作り上げました。

 現在は,その計測結果の分析を進めており,今後は,我々の持つ気象・需要予測技術,エネルギーシステムの最適運転技術を応用して,ココラフロントにおけるコージェネシステムの高効率利用を実現します。

複合商業施設における電力・熱需要の計測と解析

 2008年8月から,ココラフロントにおける気象および電力・熱需要計測を開始しました。約600ヶ所にのぼる計測点において計測している約2,300種類のデータを収集し,エネルギーシステムの省エネ運転につなげていきます。  まずは,得られたデータを詳細に分析し,ココラフロントにおけるエネルギー需要形態を明らかにします。とくに,気象とエネルギー需要との関係に注目します。
 下図に示すように,さまざまな計測データを用いてココラフロントの複雑な電力・熱需要の全貌を把握し,省エネにつなげていきます。

ココラフロントのエネルギーフロー

図 ココラフロントのエネルギーフローの概略と計測の概要(クリックで拡大)

電力・熱需要の推測・予測更新

 電力・熱需要の解析から得られた知見を元に,これらの需要量を1時間単位で予測する手法を構築します。

24時間先までの時系列気象予測

 本研究室でこれまでに蓄積してきた,ニューラルネットワークやラジアル基底関数ネットワークを用いた時系列気象予測を応用し,より少ないデータを用いてより高い予測精度が得られる気象予測モデルを構築します。  

気象・需要予測を利用したコージェネシステムの運転法

 一般的に,コージェネシステムは,運転開始時刻と運転終了時刻を定めるDSS(Daily start and stop)方式で制御されています。このとき,運転時間帯が電力・熱需要とマッチしていないと,エネルギーの無駄が発生することがあり,せっかくのコージェネシステムを有効に使うことができません。

 本研究室では,電力・熱需要の変動を予測し,それに基づいてコージェネシステムの運転時間帯を決定することにより,省エネ・省コストを実現することを目指します。これが,下図に示す「フレックス運転」というエコエネ運転法です。

エコエネ運転法の考え方

図 エコエネ運転法の考え方

この運転法を実現するために,下図のようなデータ処理フローを用います。

エコエネ運転実現のためのデータ処理

図 エコエネ運転実現のためのデータ処理フロー

 ココラフロントで気象および電力・熱需要を計測します。それらのデータを,インターネットから得る周辺の気象とともに,これまでに構築した気象予測ソフトや需要予測ソフトに入力し,システム運転シミュレーションを経て,最適運転指令を出力します。

 ココラフロントでの共同研究を通して,これらのソフトの完成度をさらに高めるとともに,エコエネ運転の効果を実証します。

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